4月21日(木)開催したセミナーですが参加者の方から大きな反響をいただきまして、セミナーの内容をまとめたセミナーレポートを作成いたしました。多くの方に有益な情報になるかと思いますので是非ともご覧ください。
■セミナータイトル
現役管理担当が語る!明日から使える管理拡大ノウハウを大公開
-最新テクノロジーを活用した「管理拡大策」とは?-
■登壇者
■ファシリテーター
「不動産業界のDX化を盛り上げていこう」と2022年2月1日に業務提携をし、協業をスタートさせたスマサテ株式会社とWealthPark株式会社。不動産管理会社様への有益な情報提供を目的に、共催セミナーを企画しています。
記念すべき第一回目のテーマは、「現役管理担当が語る!明日から使える管理拡大ノウハウを大公開」。日ごろから先進的な取り組みを積極的に取り入れている不動産管理会社2社からゲストをお招きし、営業先へのアプローチ方法や活用ツール、今後の展望についてお話を伺いました。
分業制で専門性を高める
管理受託営業において、新規の管理受託を専門に担う社員が一定数いるという両社。知識や経験を積むためにジョブローテーションも組みながら、分業制を取り入れることで社員の専門性を高めているそうです。
「日本財託管理サービスでは、総勢19名が在籍する管理受託部で新規の管理受託を担っています。BtoBtoCという形をとっており、『取引先を含めた売買業者や買取再販業者にアプローチをかけて、そこから案件を得る』というのがおもな手法です。管理部門を持たない売買業者を中心に訪問や電話をしたり、管理会社のコミュニティに参加したりしながら案件を得るようにしています」(竹内氏)
「渡辺住研には、営業推進部の受託リーシング課に新規受託を担うメンバーがいます。弊社の商圏である埼玉県南西部は昔ながらの地主さんも多く、投資家の比率は低いです。商圏が限られているということもあり、新規受託の営業は直接訪問やテレアポ、DMでのローラー作戦を展開しています」(梶河氏)
分業制を敷く一方で、両社は部署間の情報連携も大切にしているとのこと。お客様とのコミュニケーションの中で他の資産や売却検討の話が出たときや、オーナー様にとって有益な情報があるときは、他部署と連携しながら素早く動くようにしているそうです。
強みを活かしながらアプローチする
営業先のへのアプローチ方法を巡っては、それぞれの強みを活かして戦略を立てている様子が明らかになりました。
「日本財託管理サービスでは、『あえて○○』作戦をよく行っています。例えば、『あえて歯抜け物件』や『あえて風呂なし物件』というように、入居者が決まりにくそうな物件から取り組み、オーナー様からの信頼を勝ち得ていくのです。年間平均98%以上の入居率を維持し、どんな部屋でも入居者を決められる自信があるからこそ、他の会社がやりたがらない物件にもアプローチするようにしています」(竹内氏)
「渡辺住研の管理物件は70%以上が築25年以上ですが、平均入居率は96%です。こうした強みや、高い入居率を維持するための取り組み事例を紹介しながら、築古物件を所有するオーナー様にも積極的にアプローチしています」(梶河氏)
さらに両社は、新たなオーナー様へのアプローチだけでなく、「既存オーナー様の満足度を高めることにも重点を置いている」と口をそろえました。日ごろから既存オーナー様とコミュニケーションを密にとりつつ、高い入居率を維持することがオーナー様離れを防ぐだけでなく、新しい案件獲得にもつながっているそうです。
日本財託管理サービスは「退去後7日間ルール」を徹底。オーナー様の損失を最小限に抑えるため、退去後7日以内の即入居実現に向けて取引先業者にも協力を仰いでいると明かしました。渡辺住研では、長期空室物件がある場合は月に1度『役員空室巡回』を実施。現場スタッフから社長まで総勢6名程で物件を回りながら議論を重ね、空室解消に努めていると語りました。
「おもてなしの心」で解約阻止
両社が誇る、高い入居率。その背景にあるのが、入居者の解約を阻止するための地道な取り組みです。管理会社自身の魅力を高め、「この部屋に住み続けたい」と思ってもらえる取り組みをすることで、入居者様の満足度向上を図っています。
「渡辺住研が管理する物件のオーナー様には、地元で農家をやられている方が少なくありません。そうした中、農家さんが育てた野菜を買い取り、弊社の管理物件の入居者様に無料でお配りするサービスをしています。さらに昨年から、入居者様に対するキャンピングカーの無料貸し出しサービスも始めました。地域密着型の会社だからこそできる強みを活かして、オーナー様と入居者様双方に喜んでいただけるような取り組みを会社全体で促進しています」(梶河氏)
「日本財託管理サービスは2022年2月、経済産業省が創設した『おもてなし規格認証』において、賃貸管理会社として初めて『★★紺認証』を取得しました。これは、電話応対や挨拶、メールなど接客の仕方が一定の基準を満たさないと取れない資格で、現在の評価は3段階評価の2番目である星2つです。これを星3つにすべく定期的にミーティングをしているのですが、この取り組みを始めてから社員の接客レベルの向上を目の当たりにしてきました。社員同士の関わり合いにも変化が見られ、CSだけでなくESにも効果が表れています」(竹内氏)
デジタルツールを活用して管理拡大へ
今もなお、アナログ文化が根強い不動産業界。一方で、今後さらに管理を拡大させて成長を続けるにはデジタルツールの導入が不可欠です。
「日本財託では、特に新築物件の管理受託営業をするうえで賃料査定システムのスマサテを重宝しています。賃料査定の早さやデザインの良さ、使いやすさが魅力です。部署によってはセールスフォースやキントーンを導入していますね。例えば、新規の営業先へのアプローチ管理にはセールスフォースを活用しており、アラートが上がったらアプローチをかけるようにしています」(竹内氏)
「渡辺住研も部署ごとに導入ツールが異なりますが、私が以前いた部署ではセールスフォースをオールインワンで活用していました。対オーナー様のツールとしてWealthParkのオーナーアプリを導入したのは、大きな転換点でしたね。これまですべてアナログで行っていた収支報告やその他のやり取りのデジタル化が可能になりました。会社としては2019年末より、支払報告書のデータ送付を進めてきています。全体の約35%のオーナー様がすでに紙面送付からデータ送付に切り替わっていたことも、WealthParkの早期導入につながりました。」(梶河氏)
WealthParkの泉氏によると、「不動産管理会社様の中で、SMAやCRMを用いながら管理をしている会社は少しずつ増えている印象ですが、まだまだ少数派」とのこと。実際の営業活動をKPI管理し、オペレーションを回すところまで落とし込んでいる会社は限られているようです。そうした中、効果的なツールをいかに取り入れて実務に役立てていくかが、管理拡大の明暗を分けるのではないでしょうか。
あらゆるニーズに応えていく
最後に、ストック型ビジネスである管理を拡大していくための今後の展望について、お二人のお考えを伺いました。
「日本財託管理サービスは現在、どちらかと言うと投資家様寄りの営業をかけています。今後は地主様からもお任せいただけるような会社にし、長い期間を通してオーナー様と良い関係を築いていけるようにしたいですね。その一環として、さまざまなオーナー様からのニーズに応えられるように、新たにサブリース事業を始める予定です」(竹内氏)
「渡辺住研としては、地域密着という本来の強みが消えてしまわないように、対オーナー様の部分はこれからもアナログでやり続けることになると思います。一方でバックヤードについては積極的にDX戦略を進め、WealthParkさんにもご協力いただきながらデジタル化、ハイテク化させていく予定です。オーナー様の高齢化を受けて、サブリースを拡大しようという戦略もあります」(梶河氏)
今回のセミナーを通して、時代やニーズの変化に対応しながら自社の強みやデジタルツールを活かした取り組みを積み重ねることが、オーナー様と入居者様の満足度向上や管理拡大につながると分かりました。今後もスマサテとWealthParkでセミナーを共催し、不動産管理会社様にとって有益な情報をお届けしていきます。
文:中條ふみ